このブログでも何回かにわたり書いてきたが、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」、浮上の時今だ遠しとの感がある。その鍵を握るのが間もなく定年を迎える団塊の世代とも言われているが、これについても若干の疑問を抱かざるを得ない。
そこで今回は、日本人の持つブランド感覚、レクサスのカテゴリー、ポジショニング取り、さらには団塊の世代の消費性向等全般からその疑問を考えてみる。
昨年、@CARが団塊の世代とそのジュニア世代を対象に意識調査を実施した。その結果について、読売オンラインでは「意外な結果がまとまった」と報告している。
一つは、「高級乗用車に魅力を感じる」団塊の世代は21%にとどまり、同ジュニア世代の27%を大きく下回っている。逆に「魅力を感じない」とした団塊の世代は23%とジュニア世代を6ポイントも上回ったのである。
二つ目は、「欲しい新車」として高級セダンを上げた団塊の世代はたったの7%であり、幼い子供を抱えるジュニア世代の6%という数値は上回ったものの、絶対値として非常に低い数値にとどまっている。団塊の世代はむしろ質感の高いコンパクトカーを求めているとの結果もでている。
(高級セダンが欲しいと思う大きな要因に、会社組織において一定の地位についたときの「見栄」というものが考えられる。定年後に欲しくなる車でないだろうことはアンケート結果を待つほどもないのではあるが・・・。)
まず注目すべきは「欲しい新車」の選択枝にある「あこがれていた車の新型」という項目である。ここの割合は5%と絶対的には低いものの、ブランドというものを考えるときに無視できない結果である。あこがれの車というと、一番にフェアレディZやスカGを想像するかもしれないが、それだけではないのである。つまり、「腐ってもベンツ、やっぱりBMW」と考えていた若かりし日々を思い出し、それが欲しいと思った方もこの選択肢を選んだと言えるのではないだろうか。
したがって、この項目を選んだ人から見るとレクサスは、あこがれのベンツ、BMWといった欧州ブランド車とはカテゴリー自体が異なるのである。彼らは、レクサスのCMを見て車を買ってもいいかなっという気持ちさせられたとしても、選ぶ車種は決してレクサスではない。レクサスは呼び水でしかないのである。このことはレクサス効果が当のレクサスではなく欧州ブランド車の増に現れているところをみると、他のセグメントの消費者にも共通して言えることでかもしれない。
これは、腕時計を例にして日本人のブランド感覚を考えるとえるとわかりやすい。たとえば100万円でロレックスを選ぶときブルガリは比較の対象になったとしても、グランドセイコーは決して比較されることはないということとおなじなのである。
合理主義の徹底したアメリカでは成功したレクサスブランドであるが、このような日本人独特のブランド感覚から、レクサクはグランドセイコーと同じく欧州ブランドと同じカテゴリーとしては認めてくれていないのである。
レクサスは、欧州のブランド車との差別化を図るため、意図的に独特のポジショニング取りをしている。たとえば先進性や信頼性などはたしかに他の追従は許さないものの、それらは日本人から見て決してブランド車の必要条件とは言えない。消費者からみて欧州ブランド車と同じカテゴリーに入り込めていない現状をみると、やはりポジショニングの取り方をミスったと言えるのではないだろうか。
さらには、団塊の世代が持つ資産、これから受け取るであろう退職金。それらは、前者が130兆円、後者が80兆円とも言われる莫大な金額である。これらを虎視眈々と狙っているのは何も自動車産業だけではない。
旅行業界、映像関係のビジュアル家電、これらが有望な消費分野であることはいろいろな調査をみるとまちがいはないようであるし、それ以外の業界もやっきになって食い込みをはかっている。加えて株式、債券市場も団塊マネーを取り込もうと必死である。
また、今後の金利上昇(これについては詳しくは述べないが、福井総裁が辞任しようがしまいが、7月14日もしくは8月11日の日銀の金融政策決定会合においてゼロ金利解除となり今年度中に最低1回0.25%のアップはほぼ確実である。その後は、ポスト小泉が誰になるか、また与謝野氏がどのポジションにつくかによって若干流動的ではあるが2年後には1%以上の上昇は避けられないだろう)、また消費税率のアップ(これについても2008年4月に2〜5%の上昇が避けられない見通しである)、さらには年金不安等々。
そういったことを考えると、レクサスの敵は、欧州ブランド車ではなく、日本人のブランド感覚そのものといえるし、また団塊マネーを狙う様々な業界や日本の経済政策いった外部要因にあるともいえそうである。
そのような外部要因を排除し、もしくは味方につけた上で、自らの土俵で勝負できるようにならないことには、レクサスに勝ち目は回ってこないのではないだろうか。
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